カチコチ通信おんらいん 20221208

12月のカレンダー
12月のカレンダー

子供の頃、12月になると、雪が降らないかなあと思っていた奧村隆充です。

今日は賃貸住宅を退去するときの保証金・敷金の精算について考えたいと思います。

建物賃貸借契約での敷金・保証金の精算について考える

建物賃貸借契約を締結するときにお金をいくつかの名目のお金を支払いますが、2種類の大きく分けられます。

退去するときに返ってこないお金と帰ってくるお金です。

法律用語っぽく言うと、支払金と預り金です。

預り金がない契約もある。その理由

預り金のない建物賃貸借契約は、貸主が管理もしている場合に多いのですが、管理会社が入る場合は、借主と貸主の利益調整をする必要があり、そのため預り金を貸主が受け取ってもらえると調整しやすいこともあって、預り金を設定する場合が多いです。

貸主が直接管理をしている場合には、家賃の滞納があった場合、最悪でも、あきらめるということがあります。

しかし管理会社にあきらめは通用しません。

なので、家賃が滞納するとすぐに家賃の回収が不能になります。

催告した後、支払いがないときに、裁判所を使って、支払い命令、もしくは退去命令をもらうことになります。

このとき、もしも敗訴した借主と保証人どちらもが支払い命令されたとしても財産を持っていなければ、差し押さえるものがありません。そのためいくら裁判で勝訴しても目的のお金の回収ができなくなります。

少しでも、そのリスクを減らすため、余裕があることをある程度審査するため、敷金・保証金という形で契約の担保金を支払わせる条件を付けます。

家賃しか払えない、預貯金がないほどの収入の方と契約を結べなくするためです。

預り金があると退去の時に必ず精算ということをしなければなりません。

貸主が管理をする場合はなぜ預り金がない場合があるか

貸主が管理人の時預り金をもらわない人がいるのは預り金の精算が”面倒”だからです。

家賃の滞納や契約不履行がなければ当然全部返還することになります。

預り金の精算の手順は以下の通り

家賃の滞納はわかりやすいので借主は領収書、貸主は家賃の管理帳がきちんと備えられていればトラブルになることはありません。

問題は契約不履行の部分です。判定が必要な部分です。

この判定が”面倒”な部分です。

荷物を全部運びだしてから借主、貸主が立ち合いして契約不履行があるか確認します。

まず、原状回復義務は果たされているか。故障個所があった場合で直っていない場合債務不履行となります。通常損耗以上の汚損、破損は借主の負担で修理する契約になっていることが多いため、引き渡し時にこれらが発見されれば契約不履行箇所があることになります。

また、荷物、物品(箒ほうき、ぞうきん、洗剤、芳香剤、タオル、トイレットペーパー、便座カバー、などなど)、またゴミなどが残っていても原状回復して引き渡すという契約に違反しているので、契約不履行となります。

エアコンの設置をした場合で、設置したまま退去していいという事前の合意がない場合で、残っていた場合これも契約不履行となります。

細かいことですが、壁や柱へ、釘、ピン、シール、ハンガーホルダー、タオルホルダーなどが残っているのも原状回復義務違反で契約不履行となります。

シャンデリアなど照明器具で入居時別のものを取り付けていて戻さなくてもよいという合意がない場合、戻していないとこれも原状回復義務違反となることがあります。自分の付けた照明を置いていくのも合意がない場合これも原状回復義務違反となります。

あと以前ありましたが、コンセントのプレートを勝手に変更して退去時にそのまま出て行った場合もあります。これもだめです。

敷金返金してから、あとから、原状回復されていないものを発見することもあります。あとから見つかった分を請求することは当然できるのですが、回収に手間(お金と時間)がかかるので、立ち合いには非常に気を使います。

確認した個所はすべて書面に記載して、貸主借主の書面をもらい、そののち金額の見積もりをします。

そして、見積もりが出来上がったら、自然損耗分と特別損耗分の案分をして預り金の精算書を作り預り金を超えていなければ余った部分を返還します。

多い場合には借主に請求します。

こうやって預かり金の精算をします。

全額返すことは結構少ない

きちんとした状態で返却されることは30%くらいです。

掃除がされていないことが多いです。

掃除についてはたいていの賃貸借契約の中では善良なる管理者としての注意義務をはらうという契約条項がありますが、これは自己のためにするのと同一の注意よりも上級の注意を払って、借りたものを使うという意味です。

善管注意義務違反が散見されるのでご注意を!

アパートなどを借りている方は自分のものではないということを感じて、建物を借りられますように。

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